「AIが使えないとゲーム業界で採用されない時代が来た」——そう聞くと身構えてしまう人も多いだろう。実際のところはどうなのか、2つのデータから見ていきたい。
Hiraku独自調査が示す「AIスキル重視」の実態
Hiraku agentが実施した独自調査(2026年、PR TIMESで発表)によれば、ゲーム業界のプログラマー・エンジニア採用において、約9割の採用担当者が「AIスキルを重視する」と回答した。一方で同調査は、AIに代替されやすい業務の1位が「デバッグ作業」であると同時に、回答したエンジニア自身の8割が「5年後も自分は活躍できている」という自信を持っていることも示している。「AIに仕事を奪われる」という単純な不安とは異なる実感が、現場にはあるようだ。
CEDEC2026でも語られた問題意識
この傾向は、CEDEC2026(2026年9月開催)のパネルディスカッション「生成AI時代、新人ゲームプログラマに期待するスキルは何が変わったか(採用×教育)」でも語られている。GameBusiness.jpの報道によれば、ゲーム産業と大学・専門学校関係者が登壇し、生成AIがプログラミングでも当たり前に活用される時代の新人教育のあり方について議論した(パネル内容の詳細な発言録は今回未確認であり、報道内容の範囲での紹介にとどめる)。
採用現場での実際の扱われ方
では、AIスキルは実際の採用現場でどう扱われているのか。Hiraku agentの転職相談の現場感覚によれば、プログラマ・エンジニア職の求人で「生成AIツール(コーディング支援ツール等)の活用経験」を聞かれるケースが、半年前と比べて明らかに増えているという(この点は現時点でHiraku担当者の仮の回答に基づくものであり、実データでの再確認が必要)。ただし、それは「AIスキルがなければ即不採用」という厳格な足切り条件ではなく、「同程度のスキルの候補者がいた場合に、使える方を優先する」という補助的な判断材料として機能しているというのが、現場の実感に近いようだ。
「必須」ではなく「評価軸の追加」という実感
この整理から見えてくるのは、「AIスキルを重視する」という約9割という高い数字と、「必須条件ではなく補助的な判断材料」という現場感覚が、決して矛盾していないということだ。採用担当者の多くが選考時にAI活用経験を一つの評価軸として持ちつつも、それが唯一絶対の基準になっているわけではない。求職者側からすれば、AIツールを「使ったことがない」状態は避けたいが、AI活用だけをアピールすれば良いわけでもなく、従来通りの基礎的な実装力・設計力と組み合わせて示すことが引き続き重要だと言えるだろう。
まとめ:楽観にも悲観にも偏らない現在地
生成AIの浸透は、ゲーム業界のプログラマー採用の基準を「置き換えた」のではなく、「一つの評価軸を追加した」という段階に近い。CEDECのような教育現場の議論と、Hiraku agentが日々の転職相談で得ている採用現場の実感を突き合わせることで、過度な楽観にも悲観にも偏らない現在地が見えてくる。

コメント