Candy Crush開発元Kingが労働組合との団体協約を拒否――スウェーデンでストライキへ
スマートフォン向けパズルゲーム『Candy Crush Saga』を手がけるKing(本社スウェーデン・ストックホルム、Microsoft傘下でActivision Blizzardの一部)で、労働組合との対立が表面化している。複数の労働組合が団体協約の締結を求めてきたが、King側がこれを拒否したことを受け、2026年9月25日、Unionenをはじめとする複数の労働組合がストライキに踏み切る見通しだ。
対立の発端と交渉の経緯
発端は2024年後半にさかのぼる。従業員が民間医師へのアクセス喪失をきっかけに労働組合クラブを設立し、2025年からスウェーデン最大の労働組合Unionenや技術者団体Sveriges Ingenjörer(Engineers of Sweden)との間で、正式な団体協約交渉を開始した。King従業員の約8割が何らかの労働組合に加盟しているという。1年以上に及ぶ交渉の末、2026年6月、Kingは団体協約に署名しない方針を従業員に通知した。これを受けてSveriges IngenjörerとUnionenが9月15日にストライキ予告を提出し、国家仲裁局(Medlingsinstitutet)による仲介が始まった。その後、Naturvetarna(スウェーデン専門科学者協会)・DIK(文化・通信・創造部門労働組合)・Akademikerförbundet SSR(専門職連合)も同情スト参加を表明し、労働者側の陣営は5組合に拡大している。
King側の主張
King側の立場は明確だ。同社最高執行責任者のUlrika Höjgård氏は、既存の給与パッケージ(年金、長期傷病給付、民間健康保険、育児休暇など)が「公正で競争力がある」と主張し、団体協約の締結は会社に構造的な変更を強いるものだとして拒否する姿勢を崩していない。
労働組合側の主張
一方の労働組合側は、賃金の額そのものよりも、経営判断への参加権(スウェーデンの労使関係法にあるMBL=共同決定権)や、失業・レイオフ時の支援体制、そして「予測可能性」「透明性」の欠如を問題視している。Unionenの交渉責任者Martin Wästfelt氏は「スウェーデンで事業を展開する企業は団体協約を持つべきだ。長期間の交渉にもかかわらず合意に至らず、他に選択肢がない」と述べた。King支部のUnionen議長を務めるKajsa Sima Falck氏も「従業員は職場を評価しているが、長期的な安定と実質的な影響力には団体協約が必要だと確信している」と語っている。ゲーム・テック業界での人材獲得競争を念頭に、Akademikerförbundet SSR会長のHeike Erkers氏は「企業規模に関わらず、従業員が安心して働ける条件と発言力を持つには団体協約が必須だ」とも述べている。なお、音楽配信大手Spotifyでも過去に同様の労使対立があったが合意に至らなかった前例があり、今回の交渉の行方にも不確実性が残る。
この対立が示す制度的な意味
この対立が示しているのは、スウェーデンのように労働者保護が手厚いとされる国であっても、個々の企業が団体協約への署名を法的に強制されるわけではないという制度上の事実だ。むしろ、労働者側が実際にストライキという実力行使に踏み切らなければ、交渉のテーブルにすら着かせられない場合があるということでもある。King自身は「待遇は競争力がある」と主張しているため、今回の対立は金額の多寡ではなく、労働条件を「誰がどう決めるか」という発言権そのものが争点になっている点に特徴がある。
転職検討者にとっての意味
海外スタジオや外資系ゲーム企業への転職を検討する人にとって、こうした労使関係のニュースは直接の転職判断材料になりにくいかもしれない。しかし、Hiraku agentへの転職相談の現場では、福利厚生や労働組合の有無について具体的に聞かれる場面が増えているという(この点は現時点でHiraku担当者の仮の回答に基づくものであり、実データでの再確認が必要)。特に北欧・欧州拠点の企業を検討する場合、団体協約の有無が待遇の安定性を測る一つの指標として意識されているようだ。今回のKingの対応が最終的にどう収束するかは、同様に大規模な組織で働くことを検討する人にとっても、参考になる先行事例になりうる。

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